珈琲抽出理論

≪珈琲抽出理論≫コーヒーの濃度”TDS”の調整方法を理解する

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コーヒーの適正濃度はTDS 1.3%

ハンドドリップコーヒーには”美味しい”と言われる濃度があります。それは、TDS1.3%の濃度です。最近のトレンドとしては、多くのトップバリスタがこの数値を目安にしており、各種大会でも見受けられます。

 

実際に、美味しいと思えるコーヒーの濃度を測定してみると、ほとんどの場合でTDS1.3%を示しています。

 

このように、ハンドドリップコーヒーの美味しさは、ある程度は数字を用いて評価することが可能なのです。この濃度の意味と変化を理論的に捉えることができれば、より美味しいコーヒーを安定的に作ることができます。

 

それでは、その濃度の考え方と調整方法を実際に解説していきます。

TDSとはコーヒーの濃度を表す数値

TDSとは、Total Dissolved Solidの略称で、水の中に物質がどれだけ溶けているかを示す数値です。ハンドドリップコーヒーで言えば、ペーパーフィルターを通ったお湯の中に抽出成分がどれだけ溶け込んだかを示しています。

 

美味しいと言われるハンドドリップコーヒーのTDSは1.3%です。これは、100gのお湯の中に1.3gのコーヒー成分が溶け込んでいる状態のことです。

 

ハンドドリップコーヒーの約98%は水ということになります。それを考えると、使う水の大切さとコーヒー成分の影響の大きさがわかります。たった1.3%であの美味しさが成り立つのです。

 

また、このコーヒーの濃度として扱われるTDSは、濃度計を使って簡単に測定することができます。

コーヒー濃度計の使い方については、こちらで解説しています。

コーヒーが適正濃度=美味しいコーヒー、ではない

ここでひとつ抑えたいのは、コーヒーの適正濃度であるTDS1.3%が、必ずしも絶対美味しいコーヒーであるとは言い切れないということです。

 

濃度が示しているのは、水の中に溶けている成分の量です。その中にはもちろん、雑味の元となる成分も含まれています。TDS1.3%の中に雑味が含まれている可能性も、十分あり得るのです。

 

つまり、TDSを絶対的な指標とするのではなく、ひとつの目安として捉えてください。

コーヒーの濃度”TDS”を調整する方法

コーヒーの濃度であるTDSは調整することが可能です。この調整は、コーヒー豆の挽き目で行うことをお勧めします。

 

では、具体的な調整方法を解説します。

コーヒーの濃度を豆の挽き目で調整する

コーヒーの濃度を調整するために最も効果的な方法は、『コーヒー豆の挽き目を変えること』です。コーヒー豆の挽き目は、抽出効率に多く影響します。そのため、濃度の調整を簡単に行えるのです。

抽出効率とは、単位時間あたりにどれだけの成分が抽出されるか、を意味しています。

  • コーヒー豆の挽き目が細いほど、抽出効率が高く、短い時間で多くの成分が抽出される。
  • コーヒー豆の挽き目が粗いほど、抽出効率が低く、長い時間をかけないと成分が抽出されない。

 

つまり、

  • コーヒーの濃度が薄ければ、挽き目を細くする。→抽出効率が良くなり、濃度が濃くなる。
  • コーヒーの濃度が濃ければ、挽き目を粗くする。→抽出効率が悪くなり、濃度が薄くなる。

をすれば良いのです。

ただ、使用しているミルやグラインダーによって、挽き目の変更に対する濃度の変化はさまざまです。実際にハンドドリップコーヒーの濃度を調整する際は、検証してみましょう。

コーヒーの濃度に影響するその他の要因

ハンドドリップコーヒーの濃度は、コーヒー豆の挽き目以外にも影響を受けます。

コーヒーを淹れるとき、レシピを変えたとき。どういったときに濃度が変化するのかをしっかりと抑えましょう。そうすることで、いつでも安定した濃度でハンドドリップができるようになります。

コーヒーの濃度に影響する要因①:お湯の温度

コーヒーの濃度は、お湯の温度にも影響を受けます。

 

お湯の温度は、コーヒーのフレーバーに大きく影響します。フレーバーを開かせたい時や過抽出の状態を整えるときにも、お湯の温度を変えることが効果的です。

しかし、その反面でコーヒーの濃度も変わってきます。具体的には、

  • お湯の温度を高くする。→抽出効率が良くなり、濃度が濃くなる。
  • お湯の温度を低くする。→抽出効率が悪くなり、濃度が薄くなる。

 

個人的な見解では、温度が2~3度変わると、味覚レベルで明確な変化が出てきます。濃度についても、TDSで0.1%の変化が起きます。TDSは、0.1%の変化で味わいの変化が起きるため、注意が必要です。

 

お湯の温度を変えて濃度に変化を感じたときは、コーヒー豆の挽き目で微調整しましょう。

コーヒーの濃度に影響する要因②:お湯のかけ方

ハンドドリップコーヒーの濃度は、お湯のかけ方にも影響を受けます。具体的には、

  • コーヒー豆を攪拌させるように、勢いよくお湯をかける。→濃度が濃くなる。
  • コーヒー豆にお湯を満たすように、ゆっくりとお湯をかける。→濃度が薄くなる。

 

お湯のかけ方にもたくさんの方法がありますが、『ドリッパー内を攪拌させるかどうか』で濃度も変わってきます。

お湯を勢いよく注げば、ドリッパー内のコーヒー豆が攪拌されます。そうすると抽出効率が高まり、濃度が高くなるのです。

 

お湯の勢いが強すぎると、ドリッパー内の場所ごとで、攪拌具合に差が出てしまう可能性もあります。これは過抽出の一因にもなりますので、注意しましょう。

 

いずれにせよ、濃度や味わいに常に一定に保つために、お湯のかけ方は同じ方法を徹底しましょう。店内の混み具合や周りの環境によって、お湯のかけ方が不安定になることもあります。安定したオペレーションを心がけましょう。

コーヒーの濃度に影響する要因③:お湯とコーヒー豆の量

ハンドドリップの際に使用する”お湯の量”と”コーヒー豆の量”が変わると、濃度にも影響が出ます。例えば、

  • お湯の量が増える、またはコーヒー豆の量が減る。→濃度が薄くなる。
  • お湯の量が減る、またはコーヒー豆の量が増える。→濃度が濃くなる。

これは、イメージがわきやすく、濃度の変化もとらえやすいと思います。このお湯とコーヒー豆の量の割合を『Brew ratio』と呼びます。この割合を適切にすることで、安定したハンドドリップと美味しさが実現します。

実はこの割合は非常に奥が深く、バリスタによって考え方が大きく分かれるポイントでもあります。

Brew ratioはハンドドリップのレシピを考えるときの骨格となります。詳しくは、こちらで解説しています。

まとめ

ハンドドリップコーヒーの濃度は、抽出理論を抑えることでコントロールすることが可能になります。今回の記事をまとめると、

  • ハンドドリップコーヒーの適正濃度は、1.3%
  • しかし、適正濃度=絶対美味しい、では無い
  • ハンドドリップコーヒーの濃度は、コーヒー豆の挽き目で調整する
  • ハンドドリップコーヒーの濃度は、『お湯の温度』『お湯のかけ方』『Brew ratio』によっても変化する

ハンドドリップコーヒーの濃度の変化は、フレーバーよりもわかりやすく、どんな方にも敏感に反応されてしまう重要ポイントです。

常に同じクオリティのカップに仕上げるよう、濃度の調整方法を身につけましょう。

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