珈琲抽出理論

≪珈琲抽出理論≫ハンドドリップで出来ることは、たった3つだけ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

ハンドドリップのポイントを正しく抑えよう

コーヒーを美味しくするためにハンドドリップで出来ることは、たった3つしかありません。それは、

  1. 雑味を抑える。
  2. 香味バランスを整える。
  3. 濃度を整える。

の3つです。意外とシンプル。なぜなら、コーヒーの品質は焙煎までの工程でその9割が決まってしまうからです。

特にハンドドリップの美味しさは、素材であるコーヒー豆に大きく影響されます。

つまり、逆に言えば、良い素材(コーヒー豆)を入手して、この3つのポイントを抑えることができれば、美味しいコーヒーができるわけです。

 

ハンドドリップをより美味しくしたい時は、シンプルに考えましょう。

 

現在、多くのバリスタたちが様々な方法を使ってハンドドリップをしています。

  • 微粉を取り除くための特殊な”ふるい”を使用する。パウダーコントロールストッカーなど。
  • 純水にカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを添加した”カスタムウォーター”を使用する。
  • 抽出の前半と後半で温度の異なるお湯を使用する。

などなど。一般的なアイテムや市販のものでは再現が難しく、いかにも上級者向けです。

 

しかし、これらも『雑味を抑えるため』『香味バランスを整えるため』『濃度を整えるため』に行っていることです。

 

一体何をすれば、美味しさがどう変わっていくのか。コーヒーの抽出を理論的に抑えることができれば、特殊な方法を使うことなしに、この3つのポイントを上手く扱えるようになります。

 

それでは、具体的に解説していきます。

ハンドドリップで出来ること①:雑味を抑える

まずひとつ目は雑味についてです。そもそも雑味とは『コーヒーの美味しさを阻害するネガティブな要素』を指します。

  • 単一な酸味(ただ酸っぱいだけ)
  • 単一な苦味(ただ苦いだけ)
  • 渋みや辛み
  • 舌に残るエグミ
  • イガイガするような印象

など、甘みや質感といったポジティブな美味しさに結びついていない要素です。

 

この雑味は、次の方法で抑えることができます。

ハンドドリップの雑味を抑える方法①:お湯の温度を下げる

雑味の原因の多くは”過抽出”です。過抽出とは、コーヒー豆から成分が抽出され過ぎてしまう状態のことです。

 

お湯の温度が高すぎる場合も、過抽出になる可能性があります。

 

まず、沸騰したての100度近い高温のお湯はハンドドリップでは使用しないでください。雑味を感じさせる要らない成分まで抽出される”過抽出”の原因となります。

コーヒーに含まれる成分の多くは、水溶性の成分です。砂糖などと同じように、高い温度のお湯には非常に早く溶け出す傾向があります。

 

水道水の場合は、沸騰させてカルキ臭を飛ばし、少し冷ましてから使用しましょう。

 

また、ハンドドリップでのお湯の温度は、コーヒー豆の焙煎度合いによって変えるのがベターです。

  • 浅煎りコーヒー → 93~95℃
  • 深煎りコーヒー → 88~90℃

といった具合です。コーヒー豆は焙煎度合いによって豆自体の密度が変化するため、お湯をかけたときの浸透具合が変わるのです。

 

浅煎りコーヒー豆は密度が高いためお湯が浸透しにくい傾向があり、お湯の温度を高めに設定して成分抽出を促します。

一方、深煎りのコーヒー豆は密度が低いためお湯が浸透しやすい傾向にあり、低い温度でも成分が抽出されます。

 

コーヒー豆に合わせたお湯の温度でハンドドリップをすれば、雑味を抑えながら美味しい成分を引き出すことができます。

 

コーヒーの雑味についてはコチラもチェック

 

ハンドドリップの雑味を抑える方法②:抽出時間を短くする

雑味の一因である”過抽出”は、ハンドドリップをする時間=抽出時間が長すぎる場合にも起きてしまいます。

抽出時間が長いほど、

  • コーヒー豆から多くの成分が抽出され、雑味も溶け出してしまう。
  • 雑味の成分は、抽出時間が長いほど多くなる傾向にあります。
  • 抽出の前半にはほとんど感じることがなく、後半に雑味が抽出される傾向にあります。

 

雑味を防ぐためには、抽出時間は短めに設定するのがおすすめです。

ただ、コーヒー豆の挽き目によって、雑味が抽出され始める時間が変わってきます。コーヒー豆の挽き目が細いほど、雑味が出始めるタイミングも早くなるのです。

 

つまり、コーヒー豆の挽き目と使っているハンドドリップのレシピによって、雑味が抽出され始める時間帯が異なるため、ケースに合わせて検証をする必要があります。

 

検証方法は、5秒刻みで蒸らし時間を延ばしながら、抽出時間を変えてみるのがおすすめです。そうすることで、レシピ内容の変更を最低限にしながら検証が可能になります。

 

雑味が出始めるタイミングを検証によって見極めれば、ハンドドリップのオペレーションも安定してきます。

ハンドドリップの雑味を抑える方法③:微粉末を除去する

微粉末も過抽出の一因となります。微粉末とは、グラインダーやミルでコーヒー豆を挽いた際に出てしまう、コーヒー豆の細かい粉末です。

 

微粉は、その細かさゆえに成分の抽出が非常に早く、それに伴って雑味が出るのも早いのです。

 

この微粉は、グラインダーの品質に大きく依存します。

グラインダーの品質が良いほど微粉が少ない傾向にあり、安価で品質が低ければ微粉の量も多くなります。

より美味しいハンドドリップコーヒーを楽しむためには、それなりの投資は必要かもしれません。。。

 

ただ、茶こしやふるいを使うことで、微粉末を取り除くこともできます。一度試してみると、微粉がコーヒーに与える影響の大きさを身にしみて感じることができます。

ハンドドリップで出来ること②:香味バランスを整える

香味バランスとは、コーヒーで感じることのできる美味しい要素のバランスのことを言います。その要素とは、

  1. 酸質
  2. ロースト感
  3. 甘味
  4. 質感

大きく分けて4つです。ハンドドリップのレシピを調整したり、コーヒードリッパーやペーパーフィルターを変えることで、これらのバランスを整えることができます。

酸質の整え方

酸質は、お湯の温度に大きく影響される傾向があります。

 

お湯の温度が高いほど、酸質を明確に感じることができます。逆に、お湯の温度が低いほど、酸質は暗く感じづらくなります。お湯の温度を適切にすることでフレーバーを開かせることができ、良質な酸質を楽しむことができます。

 

お湯の温度についてはコチラの記事もチェック

 

また、酸質はコーヒードリッパーでも調整できます。

酸質は、台形ドリッパーよりも円錐形ドリッパーを使用した方がハッキリを感じられる傾向にあります。

 

酸質は、お湯の温度とコーヒードリッパーで調整していきましょう。

 

ロースト感の整え方

ロースト感(苦味)は、とりわけコーヒー豆の焙煎度合いによるところが大きいです。

 

もし、自身のハンドドリップコーヒーを苦いと感じたときは、コーヒー豆の焙煎度合いを浅いものに変えるのもひとつの手です。使う素材を変えてしまえば、手っ取り早いです。

 

また、ロースト感は抽出時間にも影響されます。苦みの元となる成分は、抽出時間が長いほど多くなる傾向にあるからです。

苦味を強く感じるときは、抽出時間を短めにしてみることをお勧めします。

 

この抽出時間は、お湯を注ぎ分ける回数を減らしたり、コーヒー豆の挽き目を粗くすることで短くすることができますよ。

 

ちなみに、ロースト感はコーヒードリッパーでも調整できます。

円錐形ドリッパーには酸質を引き出す特徴がある一方、台形ドリッパーを使用すると良質なロースト感を引き出すことができます。

 

コーヒードリッパーひとつで、味わいは大きく変わるのです。

甘味の整え方

コーヒーの甘みは、砂糖のような甘味とは少し異なります。コーヒーの甘みは、例えば、刺身やお肉、野菜を食べたときに感じるような自然な甘さを言います。

そしてこの甘味は、コーヒーをクリーンなカップに仕上げることで、最大限に引き出すことができます。

 

クリーンなカップとは、成分の均一性が高く、美味しい味わいを阻害するネガティブな要因が無い状態を指します。

成分が均一で雑味がないと、コーヒーが持つ本来のフレーバーやアロマ、甘さや質感を明確に感じることができます。

 

クリーンカップを作る方法は、

  1. ミネラルウォーター(浄水でもOK)を使用する
  2. メッシュ(コーヒー豆の挽き目)を均一にする
  3. 良質なコーヒー豆を使用する

の3つです。

 

実は、コーヒーに含まれる98%は水です。ほぼ水分。その水が美味しくない、不純物が多ければ、コーヒーが美味しくなるはずがありません。

 

また、メッシュを均一にするほど、挽かれたコーヒーの粒から抽出される成分やそのタイミングが同じになるため、均一な味わいになります。

 

さらにハンドドリップコーヒーは、素材(コーヒー豆)の品質にその味わいが大きく左右されます。品質の良いコーヒー豆を使用すれば、おのずとクリーンカップが表現できます。

質感の整え方

コーヒーの質感は、美味しさに非常に大きな影響を与えます。”滑らかさ””シルキーな質感””シロップのような”などなど、質感はさまざまな形で表現されますが、これらが酸質や甘み、質感と結びつくことで良質なフレーバーが生まれます。

 

例えば、

  • 若干の収れん性(レモンを食べたときのきゅっとした感じ)+シトラス系の明るい酸質+甘味=グレープフルーツ
  • シロップのような質感+レモンのような収れん性+シトラスの酸質+明確な甘み=レモンキャンディ

などなどです。

 

この質感は、

  1. ハンドドリップで使用するフィルターの材質
  2. コーヒー豆の品質

の2つに大きく影響されます。抽出レシピにも影響を受けますが、明確なコントロールは難しいです。

質感は、使用するフィルターでのコントロールをお勧めします。これが一番簡単ですので。

 

ハンドドリップで使用するフィルターは、

  1. ペーパーフィルター
  2. ネル(布)
  3. 金属

大きく分けて3つです。どのフィルターをチョイスするかで、コーヒーのオイル分の量が変わってきます。

 

コーヒー豆にはもともと、油分が含まれています。この油分が多いほど、抽出されたコーヒーはシロップのように滑らかな質感になっていきます。

 

抽出される油分の量はフィルターによって変わってきます。フィルターの材質によって目の細かさが変わってくるためです。油分の量は、

ペーパーフィルター→ネル→金属

の順で多くなります。

 

油分が最も多くなるのは金属フィルターですが、目が粗いために微粉も一緒に抽出されてしまいます。ざらついた質感になる恐れがあるため、注意が必要です。

 

ペーパーフィルターは、比較的油分が少なめではありますが、カップにスッキリとした印象を与えます。

最近ではオイル分を多く抽出できるペーパーフィルターも出ているので、合わせてチェックしましょう。実際に質感や香りにも大きな変化を与えるので、試してみる価値大ありです。ぜひ。

 

ネルフィルターは金属とペーパーフィルターの中間のイメージです。個人的には、質感もハンドドリップならではの味わいも楽しめるので一番好きです。ただ、ネルの管理が少し手間ですね。

ハンドドリップで出来ること③:濃度を整える

濃度は、文字通りコーヒーの濃さです。

ハンドドリップコーヒーの濃度は、コーヒー豆の挽き目で調整しましょう。

 

お湯の温度や抽出時間、コーヒー豆の量でも濃度は変わってきますが、コーヒー豆の挽き目で調整するのがおすすめです。

なぜならば、濃度に対してコーヒー豆の挽き目が最も大きく影響を与えるからです。

 

さらに、調整方法も簡単です。コーヒーの濃度を薄く感じたら、挽き目を細かくする。逆に濃度を濃く感じたら挽き目を粗くすればいいだけです。

 

いくら良いコーヒー豆を使用したとしても、濃度が濃すぎたり薄かったりしては美味しく楽しめません。適切な濃度感で、美味しくいただきましょう。

 

コーヒーの濃度については、こちらで詳しく解説しています。

 

コーヒーは焙煎までで美味しさの9割が決まってしまう

とりわけハンドドリップコーヒーは、素材本位な飲み物です。素材となるコーヒー豆の品質で、美味しさが決まると言っても過言ではありません。

 

元はといえば、コーヒー豆は果実の種であり、農産物です。良き環境で育ったコーヒーの木が実を付け、それを収穫して種を取り出し、精製処理したものがコーヒー豆の生豆です。

 

特に酸質や甘さ、質感といったポジティブな成分は、コーヒーの木の生育環境に由来するところが大きいのです。過酷な環境で育ったコーヒーの木は、より多くの養分を蓄えるために強くなり、沢山の良質な成分を果実に蓄えます。

 

コーヒーが農産物である以上、生育の環境で品質の大部分が決まります。現在、多くのバリスタやロースターたちがコーヒーの産地を訪れているのも、うなずけます。

 

抽出アイテムも進化して来た今日では、誰でも簡単にコーヒーを淹れることができるようになってきました。

人によっては、7割、8割と表現する人もいますが、美味しさの大部分を占めることに変わりはありません。

 

美味しいコーヒーを飲みたければ、良い豆を仕入れる。とてもシンプルです。

 

まとめ

ハンドドリップで出来ることは3つしかなく、コーヒーの美味しさは素材であるコーヒー豆の品質で決まってきます。

  1. 雑味を抑えること
  2. 香味バランスを整えること
  3. 濃度を整えること

この3つに注目しながらハンドドリップをすることで、よりシンプルに、理論的にコーヒーの抽出を考えることができます。

的を絞った方がわかりやすいですよね。

 

実際に検証を行いながら、美味しいコーヒーを淹れてみてください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

コメントを残す

*