濃度はハンドドリップの基本中の基本
美味しいハンドドリップコーヒーを提供するために重要なポイントのひとつ、それは濃度です。
適切な濃度感でコーヒーを淹れることで、
- 最適な質感
- フレーバーがわかりやすい
- 最後まで心地よく飲み切れる
ようになります。
高品質なコーヒー豆が手に入るようになった昨今ではありますが、改めて抽出技術を見直してみる必要があります。コーヒーの美味しさを、コーヒー豆のせいにしていませんか?
良い機材、良い素材を集めても、ハンドドリップの抽出技術がなおざりになっていては意味がありません。コーヒーの成分抽出を理論的に抑えることで、カップの品質を安定させ、向上させる。それが、珈琲抽出理論の役割です。
ハンドドリップの濃度はメッシュと豆量で調整する
ハンドドリップコーヒーの濃度は、
- コーヒー豆のメッシュ(挽き目)
- コーヒー豆の量
で調整しましょう。もちろん、お湯の温度や注湯方法などによって濃度の調整は可能です。しかし、メッシュと豆量を調整することが、最も効率的な調整方法と言えます。
コーヒー豆のメッシュで濃度調整を行う
コーヒー豆のメッシュは、ハンドドリップコーヒーの濃度に最も大きな影響を与えます。コーヒー豆のメッシュが細ければ細いほど、濃度は濃くなります。反対に、メッシュが粗ければ粗いほど、濃度は薄くなります。
その他の要素よりも、断然影響力が大きいです。
コーヒー豆のメッシュが細いほど、その表面積は広くなるため、お湯と接する面積が広くなります。お湯がコーヒー豆内部まで浸透しやすくなり、より多くの成分が引き出されるわけです。
では、具体的な調整方法を説明します。手順は以下の通りです。
- 使用するグラインダーまたはミルで、最も粗いメッシュと最も細いメッシュを目視で確認
- 最も細いまたは粗い、そして中間のメッシュ、3段階でコーヒーを淹れてみる
- 1~2を行い、どれくらいのメッシュ変更でどのくらい濃度が変わるか、把握する。
- いつものレシピでハンドドリップを淹れる
- 濃度を測定する
- 測定値をもとにメッシュを変えていき、最適な濃度に調整する
ここで一番大切なことは、使用しているグラインダーのメッシュレンジと濃度の変わり具合を把握することです。メッシュレンジとは、挽き目の幅のことを言います。一番粗いところと細いところの差、挽き目をひとつ変えたときのメッシュの変わり具合のことです。
一番粗い(細い)メッシュでどれくらいの濃度になるのか、いくつ挽き目を変えると濃度がどれくらい変わるのか、を知ることが一番大切です。これがわかれば、現状の濃度に対して適切な調整が可能です。
また、グラインダーの種類によって、メッシュレンジは違います。実際に検証しながら濃度の変化をつかみましょう。
コーヒー豆の量で濃度調整を行う
メッシュで濃度調整を行ったとき、場合によっては過抽出による雑味が生じる可能性があります。例えば、濃度を濃くするためにメッシュを細くしたときに、過抽出は起こりやすくなります。
仮に、濃度調整で雑味が生じたときは、コーヒー豆の量を増やす(または減らす)ことがおすすめです。コーヒー豆の量が増えるとコスパが悪くなるのですが、コーヒー豆の味わいをそのままに、濃度を調整する方法としては最適です。
ハンドドリップコーヒーの濃度をコーヒー豆の量で調整する場合は、2gを基準として調整を行います。コーヒー豆が2g変わると、濃度を示す値であるTDSが約0.1変わります。これは、味覚で明確に違いが判るレベルです。
コーヒー豆の量を2g増やせば、濃度は濃くなります。逆に2g減らせば、濃度は薄くなります。この調整方法はとっても簡単です。実際に測定とテイスティングを行いながら、濃度を調整していきます。