珈琲抽出理論

≪珈琲抽出理論≫抽出時間の考え方を理解し、香味バランスを整える

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抽出時間でコーヒーの香味バランスとコントロールしよう

ハンドドリップにおける抽出理論で必ず押さえて欲しいことは、抽出時間の考え方です。コーヒーから抽出される成分は、時間によって変わってきます。ハンドドリップを開始してお湯をかけ始めたときと、お湯をかけ終わるときとでは、抽出される成分がまったく違うのです。つまり、抽出の前半と後半では、コーヒーの味わいもそれぞれ異なってくるのです。

今回は、ハンドドリップの抽出時間とその成分について理論的に抑えることで、香味バランスの整え方を学びます。

抽出時間と抽出成分の関係について

時間の経過によって抽出具合に変化が出てくる要素を次の4つに分けます。それは、

  1. 酸味
  2. 苦味
  3. 甘味
  4. 雑味

の4つです。これらは、抽出時間の経過によって抽出の具合が変わります。具体的には、

  1. 酸味 → 抽出の初期に多く抽出される。抽出の後半ではほとんど抽出されない
  2. 苦味 → 抽出の前半に多く抽出され、後半にわたっても継続的に抽出され続ける。
  3. 甘味 → 抽出の前半に多く抽出され、後半にわたっても継続的に抽出され続ける。
  4. 雑味 → 抽出の前半はほとんど感じられないが、抽出の後半ほど多く感じられる

これを可視化すると、こんなイメージです。これは、グアテマラのフルシティで検証した実験結果です。

ハンドドリップで抽出したコーヒーを50g落下した毎にサンプリングして、カッピングしました。酸質とロースト感を両方とも感じられる良質なグアテマラをチョイスしています。

味覚による検証なので個人差はあるかと思いますが、JHDCなどのトップバリスタの発言も考えると、間違えない内容かと考えています。

抽出時間として最もベストな時間帯は、赤矢印の時間です。雑味が出始める前に抽出を終えてしまい、良質な酸やロースト感のバランスを取りながら甘みを最大限に引き出すポイントです。

ハンドドリップで使用するコーヒー豆ごとに抽出時間の検証を行って、最適な時間帯を把握できると、最高の1杯を生み出せます。いわゆるキャリブレーションです。

抽出時間とコーヒーの酸質

コーヒーの酸質は、ハンドドリップの初期段階でそのほとんどが抽出されます。この時に抽出効率を高めながら良質な酸質を引き出すことがポイントとなります。具体的には、お湯の温度を見極めることが大切です。

ハンドドリップコーヒーは、お湯の温度によってフレーバーを開かせることができます。コーヒー豆の焙煎度合いに合わせて最適な湯温を選択することで、良質な酸質を引き出すことができます。そうすることで、フレーバーが鮮明になっていくのです。

お湯の温度は、

  • 浅煎りコーヒー豆は、93~95℃
  • 深煎りコーヒー豆は、88~90℃

を目安に設定しましょう。ただ、ロースターさんによって最適な湯温は異なるため、焙煎士さんに直接確認するのがベターです。

特に浅煎りコーヒーの場合、酸質をいかに引き出すかが重要なポイントになります。抽出初めの時間帯で、お湯の温度を最適に設定しながらハンドドリップを行いましょう。

抽出時間とコーヒーのロースト感

コーヒーのロースト感(苦味)は、抽出の初期に多くが抽出され、その後、後半にかけて継続的に抽出されます。深煎りコーヒーの専門店で、じっくり時間をかけてドリップするのを見かけます。それは、抽出時間を延ばすことで良質なロースト感を高めているのです。

強い苦みは、強い刺激となるため、ある程度雑味を紛らわしてくれます。複雑な香味の一部として、雑味が働くこともあるのです。濃いめの深煎りコーヒーをネルフィルターを使った点滴ドリップで淹れるなど、抽出方法によっては、雑味の影響をカバーすることもできます。

ただ、一般的なハンドドリップで深煎りコーヒーを提供する場合は、雑味が抽出され始めるギリギリのラインを狙うのがベストです。雑味を感じる直前の抽出時間を設定し、良質なロースト感を最大まで高めます。

この時の抽出時間は、コーヒー豆の挽き目によって変わってきます。

  • コーヒー豆が細挽き → 最適な抽出時間は短くなる
  • コーヒー豆が粗挽き → 最適な抽出時間は長くなる

ご自身のハンドドリップレシピによって狙うべき抽出時間は変わってきます。検証を行いながら美味しいポイントを探しましょう。

抽出時間とコーヒーの甘み

コーヒーの甘みは、抽出の前半にその多くが抽出され、後半にわたって継続的に抽出される傾向があります。ロースト感と同じです。しかし、コーヒー本来の甘みを引き出すには、クリーンカップを作る必要があります。クリーンカップとは、『雑味など、コーヒーのフレーバーを曇らせるような要因が無いカップ』という意味です。

クリーンカップを作るには、

  • 雑味を軽減する
  • 抽出成分の均一性を高める

ことが必要となります。

雑味は、コーヒーのフレーバーを曇らせたり、辛みや渋みといったネガティブな味わいの原因となります。このコーヒーの雑味は、

  • コーヒー豆の品質が悪い
  • 過抽出が起きている

の2つが原因となります。いくらテクニックを駆使しても、そもそもコーヒー豆の品質が悪ければ意味がありません。また、過抽出も注意するべきポイントのひとつです。

抽出時間とコーヒーの雑味

コーヒーの雑味は、ハンドドリップの時間が長いほど抽出される傾向にあります。雑味が抽出されるタイミングは比較的遅い傾向にあり、抽出の後半で雑味が出やすいのです。なぜならば、抽出時間が長いほど、過抽出が起きやすいからです。

過抽出とは、コーヒー豆から成分が出過ぎている状態のことです。コーヒーにとって必要のない、ネガティブな要素も抽出されている状態です。この過抽出は、

  • お湯の温度が高すぎる
  • コーヒー豆のメッシュが細すぎる
  • 抽出時間が長すぎる
  • お湯のかけ方が不安定で、コーヒー豆の攪拌が起きている

ことが原因となります。特に、今回の抽出時間で言えば、長すぎることが問題となるわけです。雑味を感じやすくなるポイントを検証によって探し、抽出時間をその前に設定します。そうすることで美味しさを最大限に高めながら、クリーンな印象を表現できます。

抽出時間は蒸らし時間で調整できる

抽出時間は蒸らし時間を変えることで調整することが可能です。一般的なハンドドリップレシピでは、蒸らし時間を25~30秒に設定することがほとんどです。しかし、蒸らし時間に決まりはありません。もっと長くても、蒸らしがなくても、美味しいコーヒーは作れます。大切なのは抽出時間が適切かどうかです。

極端な話をすれば、

  • コーヒーの挽き目が極細であれば、蒸らしは無くても成分はしっかり抽出される
  • コーヒーの挽き目が粗ければ、蒸らし時間を30秒以上しっかりとって、抽出時間を稼ぐ

ことで、挽き目に合わせて蒸らし時間を調整し、抽出時間を適切にすれば、美味しいコーヒーが淹れられます。

最適な抽出時間の検証方法は、蒸らし時間を5秒ずつ増減させればいいのです。具体的には、

  • 雑味を感じていて、抽出時間が長い可能性がある → 蒸らし時間を5秒ずつ短くして雑味がなくなるポイントを探す
  • 抽出不足で、抽出時間が短い可能性がある → 蒸らし時間を5秒ずつ長くして、最適なポイントを探す

だいたい5秒で、味覚レベルでハッキリわかる変化が起こります。このように検証を重ね、雑味が抽出されてしまう直前の、一番美味しいスイートスポットを探しましょう。

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