珈琲抽出理論-4.ハンドドリップでの最適な濃度と調整方法とは?

ハンドドリップの最適濃度と調整方法を解説

ハンドドリップでは美味しいとされる濃度とその指標があることをご存知でしょうか。近年、珈琲業界でコーヒーの抽出を理論的に扱う場面や考え方が増え、濃度を数値化することでカップクオリティの維持管理を行うコーヒーショップが増えています。

コーヒーの濃度を最適な状態に保つことで、

・フレーバーが開き、コーヒーのキャラクターがわかりやすくなる。

・コーヒー本来の甘さを、フレーバーと質感とともに感じられる。

ようになります。

濃度が濃すぎた場合、フレーバーは曇りキャラクターが分かりずらくなります。質感も重く、心地よく飲み切れません。また、雑味も感じやすく、辛みや渋み、イガイガとした感覚が残ります。濃度が薄い場合、水っぽい質感となり、フレーバーも単調な印象となります。

コーヒーの美味しさを引き出すため、ベストの濃度でコーヒーを提供をする必要があります。

 

ハンドドリップでの最適な濃度はTDS 1.3% 前後

ハンドドリップで最適とされる濃度は TDS 1.3% とされています。この数値は2016年に行われたコーヒーの抽出技術を競う大会 Japan Brewers Cup でのバリスタたちのプレゼンでも明言されている数値です。そのたトップバリスタも TDS 1.3 % を基準とされている方が多く、ひとつの基準となっています。

この数値もいわば、トレンド、です。飲む方の年代や好みによって、美味しいと感じる濃度帯は変わります。粒度をコントロールすることで、お客様の好みに合わせたコーヒーを提供できるようにしましょう。

粒度の解説についてはこちらの記事を参考にしてください。

TDSとは、Total Dissolved Solid の略で、水溶液中に溶解されている可溶性固形物の濃度を数値化したものです。他の濃度の指標でBrix(%)があります。Brixとは、ショ糖液100g中に含まれるショ糖の割合を示す値で、糖度と同義です。TDSとBrixには相関関係があります。コーヒーギークでの測定では、TDSとBrixの間には常に約0.2%の差があり、例えばBrixが1.5%の時はTDS1.3%となります。

私の個人的な見解としても、TDS 1.3% は最適な濃度帯だと考えています。特に浅煎りから中煎りにかけては質感やフレーバーとともにバランスを取りやすい濃度だと思います。

ただ、中深煎りから深煎りの場合、お客様の年代ごとで美味しいと感じる濃度帯が変わってくるように思います。ご年配の方は濃いめのコーヒーを好きな方も多いですし、一方で深煎りは重くなりやすいため濃度を薄くする(TDS1.2%ほど)方が好まれる場合もあります。

TDSの測定は、Atagoのポケットコーヒー濃度計PAL-COFFEEがおすすめです。コーヒーギークもこれを使用しており、最もポピュラーです。測定部にコーヒーを数滴落とすだけで測定ができ、とっても簡単です。ご参考に。

 

ハンドドリップの濃度調整の方法

濃度の調整は、粒度の調整で行うとやりやすいです。粒度が最も濃度への影響が大きいからです。その方法は、

①いま使っているハンドドリップの抽出レシピでの濃度を測定する。

②濃度が濃ければ粒度を粗くし、薄ければ粒度を細かくします。

ご自身で使っているグラインダーで、粒度を変更したときにどの程度濃度が変化するかを抑えておくと、味わいの調整を行う際に非常に役立ちます。グラインダーの種類やハンドドリップを行う環境ごとで調整の度合いは変わるので、一度検証を行ってください。

抽出レシピを固定したとしても、エイジングの日数や焙煎度合いによって濃度はバラツキます。下記のような方法をもとに、濃度を調整しましょう。

エイジング日数が浅い場合

焙煎直後でエイジング日数が浅い場合、豆から発生するガスで抽出効率が悪くなります。きちんとエイジングを行った後の豆を使うことがマストではありますが、どうしても焙煎直後のものを使わざるを得ない場合もあります。その場合は、粒度を細めにして、抽出効率を高めましょう。粒度が細いと、ガスの抜けも良くなります。

焙煎直後の豆を使用せざるを得ない場合に限りますが、いざと言うときは粒度の調整を行い、テイスティングで味わいを確認の上ハンドドリップを行ってみましょう。

 

焙煎度合いが浅い場合

浅煎りの豆ほど豆の密度が高く、抽出効率が悪い傾向にあります。深煎りで適正な濃度が出たとしても、同じレシピで浅煎りでも適正濃度が出るとは限りません。濃度が低く出た場合は、粒度を細くし調整しましょう。

 

焙煎度合いが深い場合

深煎りの場合、浅煎りとは逆で豆の密度が低く、比較的抽出効率が良いです。浅煎りと同じレシピで濃度が高く出た場合は、粒度を粗くして味わいを調整しましょう。

 

他にも、新しい抽出レシピの考案の際、濃度は粒度の調整で行うのがおすすめです。『濃度は粒度で調整する』『フレーバーの明るさは湯温で調整する』などなど、味わいの各要素に対して調整項目を決めておくと、自分の思った通りにハンドドリップをコントロールできるようになります。

 

次回は、もう一つの味わいの指標である『収率』と お湯と豆の割合である『Brew ratio』について解説します。